気づきにくく
大きな被害に繋がりやすい
“アメリカカンザイシロアリ”
私が教授を務める京都大学生存圏研究所・居住圏環境共生分野は、元々は木質科学研究所という名称だったことからも分かるように、人と木材の関係を追究しながら木材保存などをテーマに研究を続けてきました。
木材に対してはさまざまな害虫が存在しますが、そのなかでもシロアリは特に大きな経済的な損失を及ぼすものです。シロアリ被害といえば、ヤマトシロアリやイエシロアリが多くの割合を占めますが、1976年に東京・江戸川で初めての被害が報告されたアメリカカンザイシロアリの脅威も広がっています。
アメリカカンザイシロアリは水がない場所でも生存でき、表面に小さな穴を空けて木材の中に巣をつくって繁殖していきます。そのため、目に見える大きな被害や、フンなどが目立たないかぎり発見しにくく、気づいた時には大きな被害につながっていることも特徴です。主に住宅の屋根裏部材(垂木、軒、梁、柱)や、雨戸、窓枠、戸枠、軒柱、外壁などの外構部材に棲息する例が多く、硬い広葉樹でつくられた家具類などでの発生事例はそれほど多くありません。