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高分子の基本

2017年5月15日 / 投稿者:鍋田 みずき / カテゴリー: ガードラック社員ブログ

こんにちは。ソリューションデザイン事業部の鍋田です。

塗料の性能は主成分となる樹脂に大きく左右されます。アクリルだったりウレタンだったりいろいろですが、正体としては「高分子」というひとことでまとめることができます。今回は高分子の基礎的な話をしたいと思います。

高分子とは大きな分子からなるものを総合的に指し、塗料の樹脂やポリエチレンなどのプラスチックはもちろん、自然界のタンパク質、DNA、コラーゲン、ヒアルロン酸、セルロースやデンプンなども高分子です。

 

いくらでも高分子の種類は挙げられますが、構造がもっとも単純かつ身近なポリエチレンを例にとって構造と性質の話をしたいと思います。

まずポリエチレンって、何?という話をしますと、「炭素と水素のみからなる高分子」ということができます。化学式で書く場合、一般的にはこう示されます。ポリエチレン

一般的には炭素と水素は省略して書くので、ただの折れ線の繰り返しになります。炭素と水素から成る化合物を「炭化水素」と呼ぶので、ポリエチレンも炭化水素のひとつといえます。

その 1 本 1 本を分子鎖と呼びます。

分子鎖が長ければ長いほど分子鎖同士が絡まって動きにくくなり、また、分子鎖が長いほど炭素や水素の数が増え、分子鎖同士の引き合う力 (ファンデルワールス力) が大きくなります。そのため、分子鎖が長いほど物理的に硬くて粘り強く、融点が高くなるのです (あまりに大きくなると影響は少なくなります)。

 

では炭化水素の炭素数と性質を比べてみましょう。

炭化水素表

極端な例ですが、同じものからできていてもこれだけ性質が変わります。

 

簡略化のために、枝分かれのない直鎖上の炭化水素で説明しましたが、実際のところは、枝分かれが存在するのが普通です。

枝分かれの非常に少ないポリエチレンはHDPE (high density polyethylene ; 高密度ポリエチレン) と呼ばれ、半透明で硬くかさかさした袋などの原料になっています。一方、枝分かれのあるものは LDPE (low density polyethylene ; 低密度ポリエチレン) と呼ばれ、透明でしなやかな袋などに使われています。その差は構造の違いによる結晶化しやすさが引き起こしています。

高分子の性質はほかに、構成原子や結合の仕方、配向にも大きな影響を受けます。塗料樹脂の特徴としては、アクリル樹脂は結晶化が 起こらないため透明性が高く、ウレタン樹脂は柔軟性や密着性の良さが挙げられます。多くの樹脂メーカーが多種多様な性質の樹脂を作っており、私たち塗料メーカーは求められる性能に合致した樹脂を選んでいます。 ポリエチレン2

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