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高分子の基本②

2017年7月3日 / 投稿者:鍋田 みずき / カテゴリー: ガードラック社員ブログ

こんにちは。ソリューションデザイン事業部の鍋田です。

前回、高分子化学の基本としてポリエチレンを例にとって分子鎖の長さと結晶化の話をしましたが、今回は続きとして 「Tg」 の話をしたいと思います。

Tg とはガラス転移温度のことで、私たち塗料メーカーが樹脂を選ぶうえで参考にする、大切な樹脂の性質のひとつです。ガラス転移とは高分子に特異的な性質で、Tg より高温ではゴム状態といわれる柔らかい状態に、Tg 以下では硬いガラス状態になります。

そういわれても何のことかわからないと思うので詳しく説明します。

 

低分子の場合、低温では分子同士がきっちり並び結晶状態をとった固体になります。温度を上げていき融点を超えると、ぴったりくっついているよりも自由に動き回る方が安定になるので、流動する液体になります。温度を上げ下げすることで、固体⇔液体を繰り返すことができます。水の融解

高分子は分子鎖が長いのが特徴です。長い分子鎖はきっちり並ぶのを邪魔しあうため、完全な結晶構造をとることは出来ません (部分的な結晶化は起こります)。高温で液体になった高分子を冷やしていくと、融けていた時のぐちゃぐちゃな形のまま流動しなくなるのです。この流動しなくなる温度は通常 Tm と呼ばれています。このとき、長い分子鎖が絡み合っているため、流動はしないものの分子鎖は動こうとしています (ミクロブラウン運動)。そのため、弾力がありしなやかなゴム状態になります。

 

さらに温度を下げると、動こうとしていた分子鎖も動くのを止めてしまいます。この温度が Tg です。形はぐちゃぐちゃなままではあるものの、低分子の固体と同様に分子は動けなくなるので硬い、ガラス状態になるのです。

高分子
Tg は分子鎖の長さ (分子量) のほか、分子の柔軟性、枝分かれの数、大きさ、
といった様々な要因に影響を受けますので、その調整で様々な Tg の樹脂が作られています。塗料樹脂も使用される用途により、傷がつきにくい硬い樹脂を用いたり塗られる素材の伸縮に追従できるように柔らかい樹脂を用いたりして作られています。

 

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