ガードラックの森づくり対談(後編)
2013年6月25日 / 投稿者:Guardlac Staff / カテゴリー: ガードラックの森
※ガードラックの森づくり対談(前編)から読む
(吉見)結局のところ自動車業界でも電気産業でも会社が潰れそうだからと言って国が補助金を導入して助けることなんてないですよね。林業界はなぜか当たり前のように森林を整備し、材木を生産するのに国の補助金を頼りに事業を進めています。補助金がないと整備ができないと考えています。これって変ですよね。補助金は麻薬と同じで、いろいろなものを麻痺させ、結局すべてをダメにしてしまいます。
補助金のほかにも林業政策を含めた問題点はたくさんありますが、一番の問題はユーザー不在と言うことでしょう。国の政策や補助金が問題ではなく、木材を生産する生産者側の意識の問題が大きいと思います。林業を支えている木材生産者、森林組合、林業家がユーザーとの関わりを持って、何を提供しなければ売れないのかをちゃんと考えないと林業の再生は決して図れないと思います。
上伊那地方にはアカマツ林がいっぱいあって、今から大体30年前はマツタケがたくさん採れていました。ところが、森林整備に補助金が出るからといってマツタケがでる山も間伐をしたんですね。そしたらマツタケが一本もでなくなったなんて話があります。
山の価値をきちんと判断できないと、結局お金になるものもお金にならないんですね。なにも考えないで価値をつぶしてしまうそれって一番もったいないですよね。
山の価値を高めるには、どんなニーズをどこへ求めていくかということです。多くの人が山や森林に関わり、あれもいい、これもいいっていう考え方がニーズとして森林の中に入っていくことが大事だと思います。和信化学工業さんは和信さんのやり方で森を考え、森ライの竹垣さんは竹垣さんのやり方で森に関わる。これが一番良いと思います。
(竹垣)全く森に携わったことのない若い女の子たちが僕らの活動に来てくれて、活動を通じて森のことを知ってくれれば、森への応援団にはなってくれると思います。買い物に行った時に、そういえば一年前「木を使ったほうがいいんですよ!」と森の活動で聞いたんで、今回買うしゃもじは、プラスティックじゃなく木のものをチョイスしたとかね。
森づくり体験バスツアーを通じて森での原体験を持った人たちが、環境問題に無関心ではなく正しい消費者に向かっていますよ。実際の話しとして・・。
(吉見)森林は要するに多様な生態系のバランスでできていて、底辺が多ければ多いほど安定するんですね。いろんな人が森づくりに対していろいろなニーズを言うことで、底辺が大きくなり安定した森づくりになるんです。そうしたら何があっても簡単には転ばない。
つまり、天変地異が起こったときに、国が一生懸命みんな同じにしろって言っている中で、一緒にしなかった和信さんの森だけが残る可能性があるわけです。多くのニーズ、さまざまなやり方による多角的で多様な森林こそがリスク管理を含め重要なのだと思います。
国の流れに乗るのも一つの方法ですけども、和信さんが独自の森づくりを提唱すれば、それが新たな森づくりのきっかけになっていくとはずです。
(竹垣)CMでありましたよね?「おせちもいいけどカレーもね。」あれって的を射ていて個人的に好きなフレーズです(笑)。
森林NPOの分野で、みんなで目指している方向から外れると、けっこう批判されるんです。だからこそあのフレーズみたいに、気軽さがあってもいいし、多様性があるのも当たり前にしていきたい。「なになにもいいけど国産材もね。」とか言っていきたいですね。
(終わり)
森のライフスタイル研究所 http://www.slow.gr.jp/
株式会社アーバンフォレストリー http://urbanforestry-japan.com/
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